1対多の通信
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1対多の通信 (メーリングリスト、ニュース、チャット)
あなたが1対多の通信をする時には、メールに関するすべてのルールも常に適用しなくてはなりません。1対1の通信の場合よりもはるかに多くの人を傷つける可能性があることを考慮に入れておけば、結局、一つのメール・メッセージや投稿で多くの人と通信することと、1人の相手と通信することとはとてもよく似ています。従って、あなたのメッセージの読者についてできるだけ多くのことを知っておくのは、とても重要なことです。
利用者のガイドライン
メーリングリストとニュースの一般的なガイドライン
- あなたが何かを投稿する前に、1〜2か月の間メーリングリストとニュースグループの両方を読みましょう。これは、あなたがそのグループの文化を理解するのに役立ちます。
- システム利用者の無作法な行為に関して、そのシステムの管理者を非難してはいけません。多くの場合、利用者と管理者は別人です。
- 多くの読者があなたの投稿を読むということを考えましょう。その中には、あなたの現在の、あるいは将来の上司がいるかもしれません。あなたが書く内容に注意しましょう。また、メーリングリストもニュースグループもしばしば長期保存のファイルになりますから、あなたの言葉が非常に長い間、多くの人々がアクセスできる場所に保管されるかもしれないということを覚えておきましょう。
- ある人の発言は、その人の個人的な意見であり(特に明示していない限り)その所属組織の見解ではないものと考えましょう。
- メールもニュースもシステム資源を消費するものであることを覚えておきましょう。その利用について、あなたの組織が定めているかもしれない特別な規則について注意を払いましょう。
- メッセージや記事は、簡単で要領を得たものでなければなりません。的外れの話題をさまようことなく、脱線することのないようにし、単に他人の誤字脱字を指摘するためだけのメールや記事を送ったりしてはいけません。これらの行為は、他のどんな行為よりも明白にあなたが未熟な初心者であることを示してしまいます。
- サブジェクト(題名)の行は、そのグループの規則に従って書かなければなりません。
- 偽造やごまかしは、許されない行為です。
- 広告は、ある種のメーリングリストやニュースグループでは歓迎されますがその他のメーリングリストやニュースグループでは嫌悪されます。これは、投稿する前に読者が誰かを知っておく、ということのもう1つの例です。完全に話題から外れた、頼まれてもいない広告を出せば、確実に多数の注意のメールがあなた宛に届くことになります。
- あるメッセージについて返事を送ったり投稿する時には、必ず先頭にオリジナルの要約を書くか、状況を伝えるのにちょうど十分な量のオリジナルの文を引用として含めましょう。これで、あなたの返事がどこから始まるのかを確実に読者に理解させられます。特にニュースでは、記事があるマシンから次々と配送されてくるため、オリジナルが届く前に返事が先に届いてしまうこともあります。状況説明を与えることは、読者に役立ちます。ただし、オリジナルの全文を含めることはしてはいけません。
これもメールの場合同様、日本のビジネス文書に関してのみ、全文を引用する悪癖が習慣になっています。うっかり海外のニュースに、この悪癖を突きつけると、確実に多数の注意のメールが届くことでしょう。
- 繰り返しますが、あなたのメッセージに付ける署名を必ず持ちましょう。これにより、ヘッダ情報をはぎとってしまうメーラやニュースリーダでも、あなたの連絡先の情報は消されないで確実に残るようになります。
また、悪意をもってデマ情報を流そうとする者ほど、署名を隠したり、偽りの署名をするものです。
- あなたがメッセージや記事に返事をする時には慎重に行いましょう。しばしば、返事のメールや記事は元の記事のあったアドレスに返送されますが、多くの場合それはメーリングリストかニュースグループのアドレスです。個人的な返事をとてつもなく多くの人に送りつけ、みんなを当惑させてしまうかもしれません。最も良い方法は〔個人的な返事を書くときには〕返信機能に頼らずに、宛先アドレスを自分でタイプすることです。
- 配達証明、不着時の情報、休暇中自動応答プログラムは、完全に標準化しているものではなく、インターネットメールに接続されたシステム間を経由する上で完全に信頼できるものでもありません。これらはメーリングリストに送信する時には侵略的ですし、配達証明はプライバシーの侵害であると考えている人もいます。要するに、これらを使ってはいけないということです。
- 個人宛のメッセージをメーリングリストやニュースグループに流してしまったことに気付いたら、相手とそのグループに簡潔におわびのメールを送りましょう。
- 自分がある1人の人と意見が一致しないことに気付いた時には、メーリングリストやニュースグループにメッセージを送り続けるのではなく、個別に電子メールで返答しましょう。そのグループが何がしかの関心を持つかもしれない点を討論していならば、あなたは彼らのためにあとで要約をしてあげても良いでしょう。
- フレーム戦争(感情的論争)に巻き込まれてはいけません。火のつきやすい記事は、投稿してもいけませんし、返答してもいけません。
- 返答に対して、もはや必要のない返答でしかないメッセージや記事を送ることは避けましょう。
- 等幅フォントや図は慎重に使いましょう。これらは他のシステムでは異なって表示されるでしょうし、同じシステムでもメーラによって表示が異なります。
- さまざまなニュースグループやメーリングリストが、さまざまな趣味や話題を議論するために用意されています。これらは、生活様式、宗教、文化の多様性を表わしています。あなたが反対意見を持つグループに対し「あなた方の考えには反対だ」という攻撃的なメッセージや記事を投稿することは受け入れられません。性的、人種的いやがらせのメッセージは法的な問題になるかもしれません。攻撃的な項目があるかどうかフィルタして探しだせるソフトウェアも利用できます。
- 日本では、一般にサブジェクトに日本語文字を用いることは歓迎されていないことを覚えておきましょう。最近でこそサブジェクトに日本語文字を含めると読めなくなること少なくなりましたが、システム環境によっては、サブジェクトの日本語文字が正常に表示できない場合があります。初めての相手にメールを送る時や、グループに送る場合には注意しましょう。英語かローマ字を使いましょう。
メーリングリストのガイドライン
インターネット上にどんなメーリングリストが存在していて、どう参加したら良いかを知る方法はいくつかあります。あなたの組織が、メーリングリストへの加入と投稿について、どんな方針を定めているか確実に理解しておきましょう。一般に言えることですが、インターネットで情報を探し始めるよりも先にまず自分の組織内の情報を調べてみることは常に良いことです。インターネット・メーリングリストと参加方法を一覧にしたファイル群が news.answers に定期的に投稿されています。これは、各種の話題に関するメーリングリストを探すための貴重な情報源です。推奨文献一覧 [9,13,15] も参照して下さい。
- 参加申請(subscribe)、脱退申請(unsubscribe)のメッセージは適切なアドレスに送りましょう。いくつかのメーリングリストソフトウェアにはこれらをキャッチできるほど賢いものもありますが、すべてが探し出せるわけではありません。メーリングリストがどのように機能しているかを学んで、正しいメールを正しい場所に送るのはあなたの責任です。非常に多くのメーリングリストが -request をつけたアドレスで参加脱退申請を受け付けるように設定してはいるものの、全部がそうしているわけではありません。参加しようとするメーリングリストで使われている方式を必ず調べておきましょう。
- 自分が参加するすべてのメーリングリストの参加申請メッセージを保存しておきましょう。通常、その中には脱退方法〔と連絡先アドレス〕も書いてあります。
- 一般に、一度あなたが送ったメッセージを回収することは不可能です。あなたのシステム管理者でも、あなたが送ってしまったメッセージを取り戻すことはできません。これは、自分の書いたメッセージが本当に送信したいものなのかどうか、あなた自身で確認しておかなければならないことを意味します。
- 多くのメールプログラムが持つ自動返信機能は内輪の通信には役立ちますがメーリングリスト全体に送られた時には悩みの種になります。メーリングリストから届いたメッセージに返答する時には、"Reply-To" のアドレスを調べましょう。ほとんどの自動返信機能ではメーリングリストの全参加者に送信します。
- URL(Uniform Resource Locator)や FTP 可能なバージョンの入手先を示せば済む場合には、メーリングリストに大きいファイルを送ってはいけません。ファイルを分割ファイルとして送りたい時には、そのグループの慣習に必ず従わなければいけません。どんな慣習になっているのか知らない時には、尋ねましょう。
- 長期間にわたってメールをチェックできない時には、脱退するか、"nomail" オプションの設定をする(それが利用できるとき)ことを考慮しましょう。
- 1つのメッセージを複数のメーリングリストに投稿する時、特にそのリストが互いに密接な関係のあるときには、クロスポストすることについて謝罪しておきましょう。
- 質問をしたときには、必ずサマリ(概要)を投稿しましょう。その時は、受け取ったメッセージの束を送るのではなく、正しく要約して送りましょう。
- メーリングリストの中には私的なものもあります。これらの招かれていないメーリングリストにメールを送ってはいけません。私的なメーリングリストから届いたメールを、対象外の人々に広報してはいけません。
- あなたが論争につかまった場合は、書き手の人格ではなく、書いてある内容に議論を集中するように保ちましょう。
ニュースのガイドライン
ニュースは、人々が特定の関心を持つ話題について交流することができる地球的規模の配信システムです。複数の分類に分割されており、主要なものは以下の通りです:
- sci(科学関連した議論)
- comp(コンピュータ関連した議論)
- news(ニュース自体に集中した議論の場)
- rec(レクリエーション活動)
- soc(社会関係)
- talk(息の長い決して終わらない議論)
- biz(ビジネス関連した記事)
- alt(代替の階層)
Alt の命名は、ある alt グループを作ることが、その階層の他の部分でグループを作るのと同じ手続きを踏んではいないことから名付けられています。そのほか、地域的な階層もあれば、Bionetのような広く配送される階層もあります。
サイバーメディアセンターのグループについては、ニュースで門田さんが定期的に説明記事を投稿して下さっています。ニュースについてのもっと長い議論については、推奨文献一覧の[2,8,22,23] を参照してください。
- ニュース用語の中で、「投稿」は、1つの新しい記事を1つのグループに投稿すること、または他の誰かが投稿した記事に返答すること〔フォロー〕を意味します。「クロスポスト」とは、1つのメッセージを複数のグループに投稿することです。あなたがあるグループにクロスポストを紹介したり、記事のヘッダに「Followup-To:」を指定するときには読者に警告しましょう。読者は、たいていそのメッセージが特定の1グループに投稿され、フォローはそのグループ内に掲載されるものだと考えています。ヘッダ情報でこの動作を変更できます。
- 返答を投稿する前に、進行中の議論のすべて(スレッドと呼びます) に目を通しましょう。前の投稿に賛成だということに限定された内容のメッセージ(Me too メッセージと呼ばれます)を投稿することは避けましょう。フォローアップ記事は、引用された内容を発展させたものでなければいけません。
- ある質問への回答を1人の人だけに与える場合にはメールを送りましょう。ニュースは地球規模で配送され、個人的な返答には世界全体がたぶん全く関心を持っていないことを覚えておきましょう。しかし、何かそのニュースグループの参加者が共通の関心を持ちそうな記事の場合には、投稿するのをためらってはいけません。
- 記事ヘッダの「Distribution(配送範囲)」部を点検しましょう。しかし、それに頼ってはいけません。ニュース配送の複雑な方法のため、Distribution ヘッダは、あてにならないものになっています。しかし、限定された読者が関心を持ちそうな記事をあなたが出す場合には、あなたの投稿の配送がそれらの人々に限定されるように、配送範囲指定行を使いましょう。たとえば、ニュージャージー州の読者だけに関心のありそうな記事を出すには、Distributionに「nj」を指定します。
この理学部数学科の情報活用基礎の授業には固有のニュースグループはありませんが、ニュースそのものを広く使えばよいでしょう。広報したければ announce に、質問があれば question に数学の話題なら sci にというようにです。但し、門田さんのニュースグループの説明記事をよく読んで、特定のニュースグループには投稿しないようにして下さい。
- もし、ある記事が複数のニュースグループの関心の範囲にあるものと感じたら、それぞれのニュースグループに個別に投稿する〔マルチポスト〕のではなく、必ずクロスポストにしましょう。一般に、これを正当化できるほど似通った関心を持つニュースグループの数は、おそらく5〜6グループにすぎません。
- 質問を投稿する前に、文献資料(コンピュータマニュアル、ヘルプファイル)を使うことを検討しましょう。答が他の方法で簡単に手に入る質問をニュースグループに尋ねると、「良いマニュアルを読め」という、不機嫌な返答が返ってきます。
- 広告行為を歓迎するニュースグループもありますが、一般には話題に関係ない商品を広告することは、犯罪以外のなにものでもないこととみなされます。広告をあらゆるニュースグループにそれぞれ送ることは、ほとんど確実にあなたのインターネットアクセス権を剥奪されることにつながります。
- もし自分の投稿に誤りを発見したなら、できるだけ早くその記事をキャンセルしましょう。
- 自分の書いた記事以外の記事をキャンセルすることは絶対してはいけません。チェインレターのようにキャンセルする必要がある記事を見つけた場合は、そのニュースの管理者に連絡をとりましょう。
- あなたが何かを投稿した後で、即座にそれを見ることができない場合でも、投稿に失敗したのだと思い込んだり、再投稿したりしてはいけません。投稿してからグループに現れるまで、運が悪いと15分ほどかかることもあります。
- いくつかのグループは、他の状況では疑問を感じる内容の投稿を許して(いくつかのグループでは歓迎して)います。それでもまだ、あなた以外のすべての読者があなたと同様に適切な投稿だと思ってくれる保証はありません。読者を怒らせるのを避けるためには、英語で記した記事ならば、ローテートユーティリティ(記事の中の全部の文字をアルファベットの13文字分ずらしてくれます) を使いましょう。たとえば、UNIXの場合、Rot13というユーティリティがあります。日本語を含む場合は、uuencode したものをコピー&ペーストするのがよいでしょう。
- 映画または本について議論するグループでは、作品の内容を暴露する投稿に「スポイラー(Spoilers;ネタばらし)」という目印をつけることが必須とされています。サブジェクトにSpoilersという語〔内容を暴露しているという注記〕をつけましょう。内容が目に触れないように、あなたの記事の始めに空白行を入れるとか、上記の様に暗号化させるかしておいても構いません。〔読者の判断で先を読むかどうか選択でき、読みたい人だけが内容を読めるように工夫しましょう。〕
- ニュース記事を偽造することは、一般に非難される行為です。自分自身を偽造から守るためには、アメリカのPGPのような変造を検出する「指紋」を生成するソフトウェアを使うことができます。
- 匿名のサーバ(プロキシサーバ)を経由して投稿することは、あるニュースグループでは許容されることもありますが、その他大多数では嫌われています。個人名を明かして投稿するのが不適当な内容の記事は、匿名で投稿するときにも不適当なものです。
- モデレートされた(検閲を受ける)グループに投稿する時には、いくらか遅れて掲載されることを了承しておきましょう。議長(モデレータ)は、あなたの記事のサブジェクト(題名)を特定のスレッドにふさわしいように変更することもあります。
- フレーム戦争(感情的論争)に巻き込まれてはいけません。火のつきやすい記事は、投稿することも、それに返答することもしてはいけません。
- 日本語のニュースグループに投稿する記事は、JIS漢字コードで送信しましょう。サイバーメディアセンターから投稿するならニュース用アプリケーションが自動的に行ってくれます。
チャットのガイドライン
チャットは、複数の人々がリアルタイムで交信することができる配信システムです。大阪大学サイバーメディアセンター以外にもチャットシステムは存在しますが、ここではサイバーメディアセンター内部に限ってアドバイスします。サイバーメディアセンターにあるチャット用アプリケーションとして xchat があげられます。
- チャットは、決してコンピューター相手のバーチャルの存在と会話するものではありません。ネットワークを通信道具としているだけであって、あくまでも人間同士のコミュニケーションであることを心に留めておきましょう。
- チャットにアクセスしたら、まず初めに必ず挨拶をしましょう。また、アクセスを切るときにも、必ず挨拶をしましょう。
- メニューのプリファレンスを使えば、ニックネームを登録できます。他の人があなたに呼びかけるときの便宜を図って、ハンドルネームを付けましょう。
- ニックネームを頻繁に変更するのは、不要な混乱の原因となります。
- ニックネームの匿名性は、本質的にありませんので、引責できない不穏当な発言は控えましょう。故意に不穏当な発言を繰り返すストーマーは、何らかの処分があることを覚悟して下さい。
ちなみに、新年度が始まるごとにチャットをテレホンクラブか何かと勘違いしているような人間として幼稚な輩が現れます。このような連中に注意することは、大人のルールを幼児に説明するのと変わらない苦労をします。とりあえず無視するのが懸命な対処方法です。
- リアルタイムでの会話なので、「ついうっかり」程度の言い間違いは多目に見てもらえますが、自分で気付いたり指摘を受けた時には、速やかに訂正と簡単な謝罪をしましょう。
- スレッドが複数になるのは日常茶飯事なので、特定の人々に話しかける時は > (対象となる人々)を文末に付けましょう。例えば、
<kyo-ju> 今晩、時間があれば呑みに行きませんか? > 熊ちゃん
<kuma> 今日はちょっと忙しいので来週ではどうですか? > 狂授
というように使います。
- チャットには、教官・技術専門職員・院生などさまざまな年長者がアクセスしてくることがありますので、親しく話すのは了承されていますが、嫌がらせ系の発言や、度を過ぎるのは受け入れられることではありません。
- 一回の発言の長さは、100字程度までにしておきましょう。それ以上になりそうな時は、適宜、切り分けましょう。やむをえず長くなりそうな時には、予め長くなることに対して、参加者の同意を求めましょう。
- 時々ネットワークの都合で配信が遅れることがありますが、反応が悪かったからといって、即座に何度も送信したり、アクセスしなおしたりするのは止めましょう。余計にネットワークに負担をかけるだけで何の解決にもなりません。