(5)検討

(1)VDS=2,4,6,8,10[V]の時、縦軸√iD ,横軸VGSのグラフをそれぞれ(Fig.8),(Fig.9),(Fig.10),(Fig.11),(Fig.12)に示す。また、VGSの高い部分を直線と近似し、最小二乗の1次近似したものもそれぞれに示した。ここに、最小二乗の一次の直線の式を示し、それぞれしきい値電圧Vthの値を求める。i=K(VGS−Vthにおいて DSは全てピンチオフ電圧以上であるから、近似直線は上式と見なして、√Y=√KX−√KVthとする。 直線の式 Y=ΣA×Xと置くと 

  VGS=2[V]
のとき
 
A0=-20.86,A1=13.65,
 
correlation coefficient 0.997
 
Vth=1.53[V]
 
K=186.3
 
VGS=4[V]
のとき
 
A0=-22.86,A1=14.81,
 
correlation coefficient 0.996
 
Vth=1.54[V]
 
K=219.3 VGS=6[V]
のとき
 
A0=-23.48,A1=15.20,
 
correlation coefficient 0.998
 
Vth=1.54[V]
 
K=231.0
 
VGS=8[V]
のとき
 
A0=-24.80,A1=15.79,
 
correlation coefficient 0.989
 
Vth=1.57[V]
 
K=249.3
 
VGS=10[V]
のとき
 
A0=-27.83,A1=14.48,
 
correlation coefficient 0.988
 
Vth=1.59[V]
 K=
305.6

(2)しきい値電圧V
th
について
[1]V
GS
−V
th
<0の時チャネルは形成されない
[2]0<V
DS
<V
GS
−V
th
の時チャネルが形成される。
[3]0<V
DS
=V
GS
−V
th
の時ピンチオフ状態

以上よりしきい値電圧Vthはチャネルが形成されるまでVGSによって多数キャリアである電子を誘起させ、可動させるためのギャップエネルギーのようなものである。即ち、VGSはVth以上でなければチャネルは形成されない。更に、VDSはVGS−Vth以上でないとドレイン側に空乏層が広がらずピンチオフしない。

 

(3)V
DS
−i
 特性(graph 8)よりチャネル長変調変数λを求める。

((6)付録)より、VDS−i の関係は となる。この式より、飽和領域の直線の延長線(それぞれのデータ域の最小二乗の一次近似の直線)のVDS軸との交点はVDS=−1/λであるからグラフから  VGS=−22[V]よりλ= 0.04545 となる。


 

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