MOSFETの電流−電圧特性
(Fig.13)において、絶縁体の誘電率ε,ゲート電圧VGS,絶縁物の厚さd,単位面積あたりの電荷Q,絶縁体のすぐ下の電位V(x)とすると電荷絶縁物中のソースからの距離xにおける電界Eは、 −(1)
となる。誘起されたキャリヤがx方向の電界によるドリフト電流はドレイン電流iD となるのでチャネルの幅ω,チャネル内のドリフト移動度μとすると、 −(2)
と表すことができる。また、電流連続の条件からiD は任意のxで同一であるから、(2)式をxで0からlまで積分すると、左辺は、 −(3)
となる。一方、右辺はinitial condition V(0)=0, V(l)=VD であるから、 −(4)
となる。即ち、 −(5)
で、iD −VDSの関係が成り立つ。以上は理想的な場合であるが、実際の半導体では表面状態の存在や絶縁物内の電荷のためにチャネルの形成にはしきい値電圧VTHを越えなければならないから、(5)式はVGSの代わりにVGS−Vthとすればよい。従って、
−(6)
となる。これはオーミック領域特性を表す式である。 ピンチ・オフの状態は、チャネルの導電率は0であるから、diD /dVDS=0からそのときのVDSは、
VDS
=VP
=VGS
−Vth
−(7)
となる。これを(6)に代入すると、 −(8)
ここで と置くと、 −(9)
これが電流の飽和領域特性を表す式を与える。 また、ピンチオフにおけるドレイン動作点電流をID とすると、飽和領域における導電率は近似的にID に比例するから、比例定数をλと置くと、 −(10)
と表すことができる。また、(9)式を両辺VDSで微分して、
−(11) 但し、 −(12)
となり、VGS=constの時iD=ID=constとすると、
−(13)
となる。(10)式を(13)に代入すると、
−(14)
となり、
−(15)
から、正確なVDS−iD 特性は、
−(16)
で表される。ここで、(16)の比例定数λはドレイン・ソース間電圧の増加によって、実効チャネル長が変化する係数を表していることから、チャネル長変調係数呼ばれる。